材料科学と医科学

インプラントに関する投稿でも言及したことがありますが、医学分野、特に整形外科や歯科の分野は材料科学とともに発展してきました。近年では「ナノ工学」という名称で統一されることが多いですが、その起源は錬金術にまで遡る材料科学は、化学的・物理学的な新しい物質の発見や生産を通じて継続的に進化している学問です。 最近では、ナノレベルで物質を制御できる技術の発展に加え、化学的・物理学的な組成変化を予測できる人工知能技術の進歩により、新材料の開発がさらに加速しています。
広大な微視の世界

量子トンネル効果による課題はあるものの、半導体技術はすでにナノ領域に突入しており、カーボンナノチューブやペロブスカイトなどの次世代太陽電池材料も着実に進化を続けています。さらに、人工知能を活用したタンパク質設計が大きな成果を上げ、Google DeepMindのCEOと主任研究員がノーベル化学賞を受賞したことにより、材料科学分野でもAIの活用が急速に進んでいます。 私たちは宇宙のスケールから見れば塵のように小さな存在ですが、その宇宙と同じくらい広大な微視の世界を、一つひとつ解き明かしていっています。
電子顕微鏡

1590年頃、オランダのミデルブルフで眼鏡を製作していたハンス・ヤンセンによって、世界初の顕微鏡が発明されました。それ以来、私たちは肉眼では見えなかった世界を一つひとつ発見してきました。 しかし、顕微鏡の倍率を上げるほど像がぼやけるという限界があり、それを克服するために電子顕微鏡が開発されました。現在では、硬い外骨格を持つ昆虫を生きたまま観察できる電子顕微鏡や、百万分の1mmという極微の世界にある原子を直接観察できる電子顕微鏡まで登場しています。
パンデミックの早期終息

このようにして、科学者たちは微視の世界の物質を発見し、その力学的な関係を解明しながら、人類の生活をより健康で豊かにするために、それらの物質を加工し、新たに組み合わせる方法を模索してきました。 こうした技術の発展は、時に戦争のような破壊的な形で利用されることもありましたが、一方でmRNAワクチンの開発のように、史上最短期間でのワクチン開発を可能にし、世界的な感染症の危機であるパンデミックを終息へと導く医療技術の進歩へとつながっています。
歯科材料は次に続きます。