歯科材料

医療技術の発展は、抗生剤のような治療薬だけでなく、生体代替材料の開発によっても継続的に進歩しています。 歯科分野に限定して考えると、歯を代替する材料や、歯槽骨を補う物質の開発は現在も研究が進められており、毎年、新たに改良された材料や新素材が登場しています。これにより、生まれ持った歯をより長く維持・使用できるようにサポートするとともに、事故で歯を失った場合や、適切な口腔ケアができずに喪失した歯を補うための治療が可能になっています。
歯科材料 – 金合金

歯科では、欠損した歯を補ったり、歯の機能や審美性を向上させるために、さまざまな材料が使用されます。これらの材料は、それぞれの強度・耐久性・生体適合性・審美的特性に応じて治療に適したものが選択されます。 まず、最も長い歴史を持つ材料として金属材料があります。歯科で使用される代表的な金属補綴材料のひとつが金合金(ゴールド)です。金は加工性と延性に優れており、精密な補綴物の製作が可能です。そのため、歯にしっかりと密着し、適合性が高く、接着力や安定性に優れているという特徴があります。
金合金の利点

さらに、金は強度と延性に優れているため、噛む力に対して高い耐久性を持ちます。そのため、破損や欠けるリスクが低く、咀嚼による摩耗にも強い特性があります。 金の最大の利点のひとつは、天然歯に近い弾性と強度を持ち、力を自然に分散できることです。これにより、歯と補綴物の間にかかるストレスを最小限に抑え、隣接する歯との調和がとりやすくなります。 また、金は腐食しにくい耐食性を持っており、口腔内の酸性環境でも変質しないため、長期間使用してもその性質や色が変わることなく安定した状態を維持できます。
適合度は高いが、高価な材料

金は、人体との相性が非常に良い生体適合性に優れています。これにより、炎症反応やアレルギーを引き起こすことなく、長期間使用しても人体に有害な影響を与えることがないため、非常に高い安定性を持っています。 純金は目立つ色合いを持つため、前歯の補綴にはあまり使用されませんが、奥歯では美的特性よりも機能的特性が重要視されるため、適しています。そのため、美容的な素材としてはあまり使われることはなく、さらに金は高価な材料であるため、治療費が高くなるというデメリットもあります。
合理的な材料

比較的経済的で効率的な歯科材料として、非金属合金の歯科材料が使用されることがあります。ニッケル-クロムやコバルト-クロムといった非金属合金は非常に高い強度と耐久性を提供するため、噛む力に対して十分に耐えることができます。これらの特性により、クラウンやブリッジなど、高い強度が求められる補綴物に適しています。また、クロムなどの成分は口腔内で腐食を防ぐ保護膜を形成するため、腐食に強く、長期間安定して使用でき、変色もしません。
非金属合金材料の利点

非金属合金は金属よりも比較的軽いため、義歯のような大型の補綴物に使用するのに適しています。軽量であるため、患者は補綴物を使用する際により快適に感じることができます。一般的にコバルト-クロム合金は高い生体適合性を示しますが、ニッケルを含む合金は一部の患者にアレルギーを引き起こす可能性があるため、使用前にアレルギーのリスクを考慮する必要があります。何より、非金属合金は精密な補綴物を製作しやすい特性を持っています。
重要な選択肢

精密な鋳造および加工が可能で、必要に応じてCAD/CAM技術を用いて製作することもできます。また、非金属合金はセラミックや陶材と共に使用され、審美的で強力な補綴物を製作することができます。陶器素材で金属を覆い、外部からは見えないようにしながらも、材料特有の強度と耐久性を活かすことができます。非金属合金は、金などの貴金属合金に比べて非常に安価です。コストを削減しながらも機能的に優れた補綴物を提供できるため、治療計画時に重要な選択肢となります。
欠点と実用的な利点

一方、高い熱伝導性のため、一部の患者は温度変化に敏感に反応することがあります。また、前述したようにニッケル含有量が高い場合、一部の患者にアレルギー反応を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。非金属合金自体は自然歯とは全く異なる金属色を持っているため、審美的な部分では単独の材料として使用するには制約があり、セラミックなどの材料と併用する必要があります。しかし、実用的な観点から見ると、優れた歯科材料であることは間違いありません。
歯科材料は次に続きます。